Epistle of Barnabas
生没年 | 不明 |
主な活動地域 | 不明。アレクサンドリア? |
主著 | 『バルナバの手紙』 |
概説
使徒教父文書の一つ。教父たちに始まり、伝統的に使徒バルナバの名が帰せられている。手紙の体裁を取ってはいるが、実際は一種の神学論文である。
著者について
本書において著者に関して言及されている箇所は皆無だが、教父たちにより新約聖書・使徒行伝に登場する使徒バルナバによるものとされている。ユスティノス、エイレナイオス、テルトゥリアヌスらは本書を知っていて自著において引用したと思われるが、引用に際し本書からと断ってはいない。教父たちの中で初めて本書を名前を挙げて引用したのは、アレクサンドリアのクレメンスとオリゲネスである。しかし、本書のユダヤ教に対する攻撃的な論調と、ユダヤ教の祭儀に関する奇抜な解釈からして、「キプロス生まれのレビ人(使徒4:36)」であるバルナバが著者であるとは考えにくく、今日バルナバ著者説を取る学者はいない。旧約聖書の比喩的解釈を多用することから、アレクサンドリア出身の異邦人キリスト者の教師とも考えられるが、確証はない。